【シリーズ第2回】生徒の思考を覗いてみよう: 正しい論理で間違った答えに行き着く

the_student_mind.png

 

生徒がどのような間違った論理を使っているのかを見てみよう

シリーズ2回目では大規模なデータを使って、生徒が比率や割合の問題にどのように対処しているのかを見ていきます。このような生徒の反応を見ることで、生徒がどのように間違ったロジックで回答したかを知ることができます。先生は生徒にロジックを教えるだけではなく、どのように法則を正しく使うことができるかを生徒に教えることができます。

 

(シリーズ全編を通して、私たちはAmerican Mathematics Competition (AMC)を解いた生徒の思考プロセスを分析します。数ヶ月にわたり300万人以上の生徒にAMCの問題をEdmodo上で解いてもらいました。このような大量のデータサンプルはさまざまなクラス、州、国にわたって集められたデータであり、生徒の思考を覗いてみる貴重な機会を提供してくれます。また、全ての生徒に共通する根本的な思考パターンも発見することができます。)

 

 

興味深い答案結果

前回の記事では、興味深い答案結果で幕を閉じました。なぜ多くの生徒は下記の質問で7.5パウンドという答えを選んだのでしょう?

 

------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【問題】

レイチェルは家族のために8つのハンバーガーを作るために3パウンドの肉を使いました。もしレイチェルが近所にピクニックにいくために24個のハンバーガーを作る必要があれば、何パウンドの肉が必要でしょうか?

  1.                  6 (7%)
  2.                  6.667 (17%)
  3.                  7.5   (26%)→ 間違いの中で一番多く選ばれていた選択肢
  4.                  8 (15%)
  5.                  9  (34%)→ 正解で、一番多く選ばれていた選択肢

回答人数:122283人    無回答:75人

------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

間違った答えを導き出すプロセスの考察

生徒は持っている知識を断片的に使い、問題文にある数字を当てはめることで、間違った答えを導き出してしまったようです。違った答えを導き出すプロセスの方が、正解の答えを導き出すプロセスより複雑であることが多いです。

間違った答えに導かれるプロセスの一つは以下のようなものです:

生徒は8つのハンバーガーを表現するためにまず8つの線または丸を書きます。そして3パウンドを表現するために3つの線や丸を書きます。正しい答えは、24個のハンバーガーは8の3倍であり、よって3パウンドも3倍する必要があるという論理構成で導き出すことができます。

 

しかし、ここである一定の生徒は8つのハンバーガーを表す丸は3パウンドを表す丸よりも2倍より少し多いと考えます。それで生徒は2倍より少し多い数を2.5と勘違いし、2.5を3倍することで7.5という間違った答えを導き出してしまいます。また、生徒によっては8÷3を正しく計算し、2と2/3という数を導き出し、3倍することで8という間違った答えを導き出したりしました。これらの理論で答えを導き出すと、答案CかDを選んでしまいます。注目すべきことは答案CまたはDを選んだ生徒は正しい答えを選んだ生徒よりも多く、どれほどこのミスが多いかを物語っています。

 

生徒がどのような論理で答えを選んでいるかの確認方法

しかし、どのように生徒が上にあげた論理で答えを導き出したと断言できるのでしょうか。私たちが持っているデータは生徒の答案を示しますが、どうしてその答案を選んだかを教えてはくれません。先生は授業中に生徒に直接質問し、説明して貰うことで、どのように考え、どのように間違ったのかを確認することができます。また、提示された選択肢が生徒の思考方法に影響を与えることがあります。同じような問題を選択肢ありと選択肢なしで生徒に解いて貰い、比較する事で生徒の思考を分析してみましょう。

 

果たして生徒は考えて答えを選んでいるのか

また、生徒が真剣に考えて答えを選んだかは私たちにはわかりません。真剣に考えているかどうかを確認するためには、答えと一緒に生徒がどのように答えを導き出したのかを説明してもらいましょう。多くの生徒は快く説明してくれます。この事実からわかるように、驚くほど多くの生徒は答えを適当に選んでいるわけではなく、きちんと考えて選んでいます。答案とともにその答案までのプロセスを書いた生徒と、答案しか書かなかった生徒の回答分布に大きな差異がないことからも、答案しか書いていない生徒でもしっかり考えて答案を選んでいることがわかります。

 

 

多くの生徒が苦戦した問題

では10年生(高校1年生)にとって簡単な内容の問題に対する、AMC10年生テストの問題を見てみましょう。私たちの予想とは反対に、Edmodo上でテストを解いた多くの生徒はこの問題に苦戦していました、問題に答えた2,100人もの生徒のうち、正しい答案の18を選んだ生徒より、間違った答案20を選んだ生徒の方が多かったのです。これは珍しいことであり、深く検証して見る必要があります。

 

------------------------------------------------------------------------------------------------------------

【問題】

メアリーの年齢とアリスの年齢の比率は3:5です。アリスが30歳の時、メアリーは何歳でしょう?

  1.  15 (7.7%)    
  2.  18 (27.6%)
  3.  20 (30.1%)
  4.  24 (23.0%0
  5.  50 (11.6%)

回答人数:2108人    無回答:0人

------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

テスト全体の正解率を選んだ選択肢ごとで比べてみる

ではテスト全体の正解率を選んだ選択肢ごとで比べてみましょう。それは下記の表のようになっています。

 

選択肢

この選択肢を選んだ生徒のテスト全体の平均正解率

A

25%

B

51%

C

31%

D

27%

E

28%

 

選択肢Bを選んだ生徒は他の選択肢を選んだ生徒より圧倒的に点数が良いことがわかります。つまり、数学を得意とする生徒は選択肢Bを選んだということです。この質問は生徒が比率の概念をどれほど理解し、テスト全体においてどれほど比率を使いこなせるかを図るために適している質問といえます。

 

なぜ多くの生徒が間違った答案を選んでしまったのか

なぜ多くの生徒が20という間違った答案を選んでしまったのかを理解するために、元の問題と同じ数字を使った違う問題文を見てみましょう。

 

------------------------------------------------------------------------------------------------------------

元の問題:メアリーの年齢とアリスの年齢の比率は3:5です。アリスが30歳の時、メアリーは何歳でしょう?

------------------------------------------------------------------------------------------------------------

新しい問題:Mr. Tomのクラスにいる男子生徒の比率とクラス全体の生徒の比率は3:5です。男子生徒が30人いる時に、女子生徒は何人いるでしょう?

------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

2つの問題は似通っていますが、答えが違うことにお気づきでしょうか。新しい問題では正解の18という答えを、元の問題でも誤って答えてしまう生徒が多いのです。つまり、多くの生徒は問題を解く方法を理解していながらも、どうしたら個別の問題に合わせて比率の法則を利用するかを理解していないということです。

 

 

数学が苦手な生徒が苦戦した問題

では、もう一つの質問を見て、どうして生徒が間違った答えを導き出してしまったのかを考えてみましょう。

 

------------------------------------------------------------------------------------------------------------

総勢28人の生徒がいるMs. Raub のクラスには、女子生徒の方が男子生徒より4人多いです。ではMs. Raub のクラスの女子生徒と男子生徒の数の比率はなんでしょう?

  1. 3:4 (8%)
  2. 4:3 (45%)
  3. 3:2 (12%)
  4. 7:4 (27%)
  5. 2:1 (8%)

回答人数:454188人    無回答:484人

------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

生徒を考えて選択肢を選んでいる

450,000人以上の生徒がこの質問に答え、正答率45%でした。もし生徒がただ適当に答えていたのでしたら、どの選択肢も約20%の確率で選ばれているでしょう。つまり、ほとんどの生徒は考えて、多く選ばれていた選択肢2つのうちの一つを選んだのです。

 

昔習った事が定着していない生徒 

この質問は8年生のテストに出題されましたが、比率を理解し文章問題を解くのは実は6年生の範囲です。しかし、55%の8年生は誤った選択肢を選んでしまいました。

 

生徒のテスト全体の点数とこの問題の選択肢の相関関係

 

Screen-Shot-2017-11-01-at-11.45.19-AM-600x241.png

上のグラフは生徒がどのように問題を解いたのかを分析する上で興味深いグラフです。横軸はこの質問に答えた生徒のテスト全体の点数を表し、縦軸は生徒の割合を表します。横軸の左側に行けば行く点ほど、テストの点数が低い生徒を表しています。横軸の右にある点は、多く正解しテストの点が高い生徒を表しています。テスト全体で8-12点を選んでいる生徒は、正解である選択肢Bではなく、選択肢Dを一番多く選んでいることがわかります。

 

この表からわかる興味深いこととしては、多くの生徒がMs. Raubのクラスの女子生徒と男子生徒の比率が7:4であると考えたことです。数学が苦手の生徒では選択肢Dが一番人気でした。

 

データが持つ意味を自分で考えてみよう! 

では、なんで生徒は7:4という答えを選んだのでしょうか?これらの考察は次の記事で議論するので、ぜひコメント欄であなたの考えを共有してください。あなたのクラスの生徒にこの質問を聞いてみて、どのような論理で答えを導き出すのかを聞いてみましょう。

 

 

今回の記事の要約

では今回の記事で紹介した事で先生が持ち帰る事ができる話はなんでしょう?

  • 例え欠陥があったとしても、多くの場合生徒は論理を用いて答案まで辿り着いています。
  • 2、3年前に習ったはずの基礎的な概念や法則も、ちゃんと身についていない事が多いです。振り返って復習する必要があります。
  • 多くの間違いは理解しがたいものではありません。些細なケアレスミスであったりします。しかし、多くの生徒が間違えてしまうパターンがあるとしたら、それらのパターンが間違っていると生徒に理解できるように教える必要があります。
  • 学んだ概念や法則を問題に合った方法で使っているかを確認する必要がある問題でも、生徒は機械的に問題を解く事が多いです。つまり問題文を深く理解しないまま、法則などを使います。そして果たしてこの問題にはこのように法則を利用するのかが正しいのかを確認しないまま、次の問題に進んでしまいます。

 

もし先生がこのような生徒のミスを理解し、意識して生徒の宿題やクラスでの受け答えをチェックしたら、生徒の間違いを正す事ができます。

 

Edmodoはこの記事で使った問題のパフォーマンス分析をして頂いたEducational Initiatives, Inc. に感謝の意を表したいと思います。